アメリカ在住プロダクトマネージャーのブログ

アメリカの大学院を卒業後、そのままアメリカに残り、現在は某米国企業でプロダクトマネージャーとして働く男子のつぶやき。

プロダクトライフサイクル

プロダクトマネージャーの役割の一つとして、プロダクトライフサイクルをマネージする、というのがあります。このプロダクトライフサイクルですが、意識して仕事に望まないとすぐ忘れがちなので、備忘録も兼ねて纏めておこうかなと思います。

 

プロダクトライフサイクルとは何か

そもそもプロダクトにライフサイクルがある、という概念自体、プロダクトマネージャー経験の長い方以外には想像するのが難しいのかなと思います。iPodが例としてはわかりやすいかなと思います。

 

iPodが世に出た当初、それはそれはとてもニッチな商品でした。Windowsに対応していない(当時はMacのシェアは相当小さかった)、値段も高い、重い、動きももっさり、といった具合です。しかしAppleはこの商品を出しました。そして、この商品に今後のプロダクト戦略の根本になる、iTunesとの連動、という機能がありました。これはAppleというブランドを熱狂的に支持する人たちをターゲットにした、実験的な取り組みだったと言えると思います。

 

初代のiPodで、iTunesとの連動や、MP3を使ったストレージ、といった、コアになるプロダクト戦略の正しさを確認したAppleは、次にメインストリームに飛び込むための大胆なProduct Market Fitを追求します。最も大きな動きはWindowsへの対応でしょう。これによりメインストリームのユーザーへのリーチを可能とし、iTunesとの連動によるMP3ファイルをメディアに焼かずに高速に連動させる、という利便性を押し出して、一気に売上を伸ばしていきます。

 

こうしてメインストリームのユーザーを獲得すると、色のバリエーションを増やしたり、バージョンを増やしたり(iPod mini) することにより、より多くの層に訴求していきます。同様にiTunesも進化を続け、ただのファイルをマネージするためのツールから、徐々に音楽や動画を買うプラットフォームへと進化していきます。

 

そうした絶頂期に一つの事件が起こります。iPhoneの発売です。iPhoneには音楽を聴ける、そしてiTunesでマネージできる、というiPodの良いところを取り込み、さらに電話やブラウジング、アプリといった機能を持っていました。iPhoneが進化し、シェアをとっていく過程で、Appleは非常に難しい決断をします。それはiPodビジネスの縮小です。徐々にプロダクトラインを減らしていき、今はiPhoneとほぼ見た目や機能がそっくりなラインしか残していません。

 

こうして誕生から縮小、時にはプロダクトのリタイヤ、という一連の流れを扱うのがプロダクトマネージャーとして大事なポイントです。

 

何故これが大事なのか

プロダクトライフサイクルが頭に入っていると、いま何に集中すべきか決めやすいです。例えば、プロダクトの立ち上げきにはコアになるコンセプトを試してくれるユーザーを獲得し、フィードバックをとることが最重要です。メインストリームに行き着くにはProduxmct Market Fitを念頭にしたフィーチャーの追加が主になります。プロダクトの縮小期には既存のユーザーのマイグレーションが主になるでしょう。

 

こうしてそれぞれの局面で集中すべきことを把握し、関係者にコミュニケーションしておくことで、スムーズな製品開発が期待できるのです。

留学で英語力は上がるのか: 純ドメの私の大学院留学から現地就職まで

私の場合は大学院での修士号取得が目的での進学だったので、英語力の向上は二次的な目標でした。そもそもそれなりの英語力がないとアメリカの大学への進学は難しい(私の場合は留学前にTOEFLで109点)ので、全くのゼロからではないですが、参考までに。尚、結論から述べると、英語力がググッと上がってミーティングを仕切れるようになったのは、アメリカで現地就職をして半年くらいでした。

 

1. 留学前の準備

2. 留学直後の状況

3. 留学一年目

4. アメリカでのインターン

5. 留学二年目

6. アメリカ現地就職、その後

 

1. 留学前の準備

私は東京大学で学士を取り、更なる勉強のため、海外の大学院への進学を志しました。周りにはあまり海外の院へ進学する人がいなかったので、インターネットなどで情報を集めつつ、推薦状を色々な人にお願いしていました。その際、推薦状を書いて頂けることになった、専攻分野ではかなり有名な方からこんなことを言われました。

「僕も昔、アメリカで勉強してその後向こうの研究室にいたけど、英語ができないと留学しても身にならないよ。特にマスター取るなら英語は留学前に出来るだけやりなさい。」

 

今思えば金言ですが、当時はあまり意味もわからず、そんなもんか、くらいに考えていました。ただ、素晴らしい業績を上げていらっしゃる方だったので、アドバイスには素直に従うことにしました。私の希望していた院への進学には、正直それほど高いTOEFLの点数は必要ありませんでしたが、インターネットで様々な留学情報を調べていると、たまたまMBAの有名校であるハーバードビジネススクールに行くにはTOEFL 109点が必要、ということを知り、この点数を目指すことにしました。

 

幸い、英語は大学在学中も論文を読んだり書いたりするためにある程度つかっていたので、3ヶ月ほど集中して勉強した結果、三度目のテストでTOEFL 109点ぴったりを取ることができました。

 

2. 留学直後の状況

晴れて最も志望度の高かった学校群の一つから合格を貰い、学生ビザを取って夏前に渡米しました。公式に要求されているTOEFLの点数よりも高い点をとったので、意気揚々とスクールライフを始めましたが、最初の壁は新入生歓迎パーティーで訪れます。同級生のアジア系の女の子が笑顔で話しかけてきたのですが、

「☆*○%♪○○?」

全く分かりません。たどたどしい英語で、

「Pardon?」

と尋ねるも、

「☆*○%♪○○?」

ときて撃沈。気まずい空気がながれ、彼女は苦笑いしながら去って行きました。スタンダードな入学前のインタビューや試験で聞く英語と、容赦のない生の英語との圧倒的な差を知った日でした。

 

3. 留学一年目

これではいかん、と一念発起し、色々な方法を試して生の英語に慣れる努力をしました。この辺りはまたおいおい書きたいと思いますが、Podcastが一番役に立ちました。SYSKとかThis American Lifeとか今でも聞いているものに出会ったのもこの頃。

 

しかし結果が出るまでには時間が出るもので、ようやくクラスメートのカジュアルな会話に入っていけるようになったのは一年目の後半あたり。この頃には仲良しグループが出来てしまっていたので、同じく英語があまり得意ではなかった数人の中国人とインド人とひたすらつるむことに。耳はPodcastのおかげで鍛えられるも、スピーキングは相変わらずお寒い感じで一年目の終わりを迎えます。

 

4. アメリカでのインターン

スピーキングに劇的な変化が出たのが、アメリカで経験した、某テック企業での夏のインターンでした。インターンは比較的あれよあれよと言う間に決まったのですが、インターン中はほぼ毎日誰かとミーティングしたりしてインプットをし、それを現場の仕事に反映させるようなことを2ヶ月以上に亘ってやりました。かなり大きなスコープの仕事を任せてもらう感じだったので、いろいろな人に質問して、自分の向かう方向性を多角的に検証する必要があったためです。

 

このインターンでは、とにかくスピーキングが鍛えられました。自分が話さないと何も前に進まない、という状況の中で、ミーティング前に時間をかけて話したいポイントを整理して、それに沿ってミーティングを進めました。偉い人と会う場合には、事前にアジェンダを書き起こして共有したりしました。結果として、そこそこミーティングで意味のある会話が出来る様になったものの、事前準備の負担は重く、実際にアメリカで働けるのか、という点に自分の中で疑問を残すことになりました。

 

5. 留学二年目

若干の失意のまま学校に戻ると、クラスメートとのコミュニケーションが一年目とは比べものにならないくらいスムーズになっていることが分かりました。少なくとも前のように会話がつまったり途中で置いてけぼりになることはなく、拙いながらも会話の輪に入り、たまに発言したり出来る様になりました。

 

これはチャンス、と思い、遅ればせながら課外活動にも力を入れ始めました。点数のよかった教授にメールして面談をとりつけてTAに応募したり、小規模の勉強会を企画したり、はたまた校外のネットワーキングパーティーに参加したりしました。未だに事前の準備は必要だったものの、慣れてきたためか事前の準備にかかる時間は短縮され、これはアメリカでもやっていけるのでは?、という気になってきていました。

 

幸運にも私はいくつかアメリカの企業からアメリカのHQで働くオファーを頂いたので、その中から多少ネゴって最も条件のよかったところに就職しました。

 

6. アメリカ現地就職、その後

意気揚々と初日を迎えたはよいものの、インターンとの差に愕然とします。インターンでは一つのプロジェクトに集中できたのに、実際の業務ではいくつかのプロジェクトを掛け持ちしながら進めなければなりません。院卒ということで、学卒の子達の非公式なメンターのような役割も途中から追うようになり、ミーティング前に事前にアジェンダを時間をかけて準備するようなことはほぼ不可能になりました。

 

おそらく業務に慣れてきたのもあると思うのですが、アジェンダの準備を諦めてから2週間ほどして、ふと普通にミーティングに参加できている自分に気づきました。それからはミーティング内で一回以上発言する、などと細かい目標を立て、一つずつ達成していきました。入社して半年経つ頃には、自分の専門分野であれば、ある程度ミーティングを仕切れるくらいにはなりました。

 

その後&まとめ

そうこうしているうちに、一緒に働いていたプロダクトマネージャーに気に入られ、プロダクトマネージャーに社内でジョブチェンジをしました。プロダクトマネージャーは殆どすべてのミーティングを仕切り、方向性をチームに与えなければならないため、英語力的にはきつい部分もありますが、よいチームに恵まれてなんとかやっています。

 

一つ言えるのは英語は長期戦ということです。特に、私のように純ドメとして育つと特に時間はかかります。きちんとした目標管理と、拙速にならず、ある程度腰を落ち着けて時間をかける覚悟が大事なのかな、といま振り返って思います。

 

 

アメリカ留学の費用を抑える方法

アメリカの大学や大学院への進学はとてもお金がかかります。一人暮らしでただでさえお金がかかるのに加え、学費が非常に高額なのが主な理由です。この傾向はトップスクールに行こうとするほど顕著になります。何故なら、Ivy LeagueやSatnfordなどアメリカの有名校には私立大学が多く、公立大学で同レベルにあるようなUC Berkeleyなどの学校の学費も、こういった私立大学との競争の中でかなり上がってきており、留学生にとっては私立大学とさして変わらない学費の水準になっているからです。尚、アメリカの私立大学の学費は何に数百万円、というレベルなので、同じ私立でも日本の私立大学よりもかなり高額になります。

 

こうした状況の中、アメリカで費用を抑えつつ、意味のある留学をするにはどうしたらよいのでしょうか。私のお勧めは以下です。

1. お買い得の学校を選ぼう

2. 日本で応募できる奨学金は全て応募する

3. アメリカの奨学金も応募する

4. 大学のTAができる機会を探そう

5. インターンは積極的に探す

6. リターンをきちんと考えて行動する

 

1. お買い得の学校を選ぼう

留学を検討しはじめた時にありがちなのが、アメリカに行きたい -> とりあえず有名校、というパターンで、あまりの学費の高さに撃沈する人がたくさんいます。おすすめはUS Newsの専攻ごとのランキングを見ることです。例えばコンピュータサイエンスであれば、

https://www.usnews.com/best-graduate-schools/top-science-schools/computer-science-rankings

これを見てTop 25くらいまでで予算に収まる学校を調べるのがよいと思います。尚、アメリカは真の意味で学歴社会なので、修士のレベルを元にしたランキングが主流です。ビジネスのような職業的な専攻を除けば、学士はあくまで修士にくっついているもの、というイメージですね。

 

全体的なイメージを掴むのであれば、こういった特集も役に立ちます。

https://www.forbes.com/best-value-colleges/#268e7813245b

 

いずれにせよ、ポイントとしては名前に飛びつかない方が留学費用を抑えられる可能性が高まる、ということです。

 

2. 日本で応募できる奨学金は全て応募する

奨学金には、返済義務のある貸与型と返済不要の給付型の2種類があります。留学費用を抑える、という観点から、ここでは主要な給付型を提供している機関をリストにして紹介します。

日本政府 - トビタテ!

日本学生支援機構(JASSO) - 海外留学支援制度

世銀 - Joint Japan/World Bank Graduate Scholarship Program (JJWBGSP)

フルブライト奨学金

ロータリー財団

伊藤国際教育交流財団

神山財団

船井情報科学振興財団

ICC国際教育委員会

 

一つ知っておいた方がよいのは、これらの奨学金は競争率がさほど高くないものもあると言うことです。きちんとした対策をして望めば、それなりの額の給付を貰える可能性も高いと思います。

 

3. アメリカの奨学金も応募する

アメリカ現地の奨学金は外国人を対象としていないものも多々ありますが、中には間口が広く、日本人の留学生が受け取れるものもあります。殆どの大学はFinancial Aidのセクションがあるはずなので、ウェブサイトを隅々までチェックして、応募できるものは応募します。更に、現地入りしたら、留学生向けのInternational Officeのようなところで奨学金を職員と一緒に確認しましょう。中にはウェブサイトに出ていない情報(アジア系の学生限定など)があったりします。

 

尚、アメリカでは大学に合格した際、入学してもらうために、返済不要の奨学金を付与するケースが多々あります。複数大学から合格した場合、かならず奨学金の有無や多寡についてネゴりましょう。私の場合ですが、額が若干増えました 笑。アメリカは本当に交渉社会なので、ネゴったもの勝ちです。失礼にならない程度に頑張りましょう。

 

4. 大学のTAができる機会を探そう

これは大学院生、博士課程で特に有効な手だと思いますが、TAになると授業料の一部が免除されたりします。TAの募集はウェブサイトなどに出ていることが多いので、こまめにチェックして教授に連絡します。TAになれるか否かは関連するコースのGPAや過去の論文の質、英語力、教授とのコネ(これが一番大事)などで決まるので頑張りましょう。

 

TAになると生徒の答案の採点や、週に数回のOffice Hour、そしておそらく週に一回くらいの授業(教授がその週にカバーした内容をrecapするようなもの)をする必要がありますが、毎学期やればかなりの学費をセーブできます。たまに学生からのフィードバックが、英語が分かりづらい、など辛辣なことはありますが、時間対比で考えるとおいしい時間の使い方だと思います。

 

5. インターンは積極的に探す

今でこそインターンは日本でも一般的になりつつありますが、アメリカの大学だと殆どの学生が夏休みはインターンをします。所謂トップスクールであれば、月に80万円近く稼げるようなインターンの機会もあるので、これらを積極的に活用しない手はありません。私は日本でのインターンは経験が無いのですが、年に一度、ボストンキャリアフォーラムなるものが開催されているようで、行くと以下のような外資系企業の日本支社のインターンが獲得できるチャンスがあるようです。

外資系投資銀行

外資系コンサルティング

外資系IT企業

外資系コンシューマー企業

外資系製薬企業

他にも楽天などがインターンを募集しているようです。

ボストンキャリアフォーラムについては、日本の会社向けの面接対策をしていく必要があるようなので、その点は注意が必要です。

 

私の場合は、アメリカでインターンをしました。この辺のコツはまた別途纏めたいと思いますが、アメリカでのインターンはコネと学歴がほぼ全てです。GAFAのような大企業でのインターンを獲得できれば、素晴らしい待遇がまっています。

 

6. リターンをきちんと考えて行動する

究極的には、学費が高いか否か、というのは投資とリターンのバランスで決まります。留学して1,000万円余分に使ったとしても、給料に年間で300万円の差が出るのであればすぐに取り返せるわけなので、長期的な観点から考えるのがよいと思います。

 

逆に言うと、留学して年功序列的な給与体系のところに就職してしまうと、留学したか否かが将来得られる価値に直結しないので、少しもったいないな、という風には思います。

 

留学する前に、どういったキャリアを歩むのか、というのは中々想像が難しいところもあると思うので、実際に留学している人の意見を聞くのが一番だと思います。

 

如何でしょうか。留学の場合、やり遂げるには熱量が大事なのですが、一方できちんと費用を抑える方法をとることで、よりよい数年間になると思います。

アメリカ西海岸で生活するための英語力

アメリカ西海岸で生活していて思うのは、この国は本当に移民の国だなぁ、ということです。訛りのある英語を聞くのは当たり前、スーパーにいってもレジのおばちゃんはベタベタなスペイン語訛りだったり、政府が発行するパンフレットも数カ国語で翻訳されたバージョンがあったりします。

 

西海岸で暮らす限り、あまり必要ではない気もする英語力ですが、以下の場面だけは個人的な経験上、逃げ場がないです。

- アメリカ入国の際の審査官とのやりとり(これができないと入国できない!アメリカ本土の入国審査はハワイやグアムなどと比べて厳しいとも聞きます)

- 免許をとるための実技試験で教官の指示を聞き取る(西海岸は車がないと満喫できません!なお、筆記は日本語版があったりします)

 

まぁ後は実は身振り手振りでどうにかなったりします。この二つに関しては英語でしか対応してくれない上に、その場で英語が理解できないとrejectされますのでご注意を(意味がわからない時などに下から下から質問するのは大丈夫です)。

 

個人的には、暮らす上でハードルになるのはどちらかというとカルチャーの問題かなと思います。クレジットカードで払った後、チップをどうやって付けるのか、といった些細なところからはじまり、警察官から何か言われたら絶対服従、というある意味知らないと危険なものまで、多くの面で日本とは異なるマナーやルールがあります。本やウェブで得られる情報もありますが、こればっかりは実際に生活しないとわからない部分も多いかなぁ、と思います。もし私が留学前の自分にアドバイスできるとすれば、

- 警察官の言うことには絶対服従

- 公園などお店以外の場所でお酒を飲まない

- 真剣に言うアイラブユーはかなり重い言葉

- バレンタインは男の人から女の人にプレゼントを渡す

- ホリデーカードはマメに出す。お世話になった人にはスタバの$10ドルのギフトカードくらいは渡す

- 筋肉は正義

- ドアは後ろの人のために抑えておく

といったところでしょうか。あとはアメフトの話題は必須なので、日本で予習しておくことをお勧めします。スポーツの話題はアイスブレイクにもってこいなので、積極的に情報収集すべきです。

 

 

プロダクトマネージャーになるには

アメリカで人気のプロダクトマネージャーですが、どういう人が採用されるのでしょうか。マネージャーとして面接もしている私の考えは以下の通りです。

1. 決断力があること

2. 好奇心があること

3. データを分析をする能力が高いこと

4. コミュニケーション能力が高いこと

5. ある程度のテクニカルスキルがあること


面接にたどり着くまでには勿論それなりの学位と職歴が求められますが、上記のような資質を持っている人がプロダクトマネージャーとして採用される可能性が高いと思います。

 

1. 決断力があること

前の投稿でも書いた通り、プロダクトマネージャーの大事な仕事は開発の優先順位を決めることです。しかし、プロダクトのリリースサイクルが短くなっている現代では、完璧な情報をもって決断できる機会は殆どないでしょう。従って、不十分な情報の中で大きな決断をしていく必要があります。

 

決断力をトレーニングするのは中々難しいのですが、フレームワークとして頭に入れておきたいのはone way door vs. two way door decisionです。one way door decisionというのは一度決めたら後戻りが難しい決断で、例えば会社の買収などがこれに当たります。two way door decisionというのは決断が間違っていたと思ったら変えることが出来るもので、例えばUIのドロップダウンの中身などが考えられます。アメリカのテクノロジー業界では、真の意味でのone way door decisionというのはあまりなく、多くのものをtwo way doorだと考えて素早く決断する、というのが今のところのトレンドです。

 

但し、やってみました、失敗しました、はいやめました、では意味がありません。two way door decisionをする場合、失敗や成功を次に繋げるため、必ず定量的に効果を測定しておく必要があります。その意味では、two way doorが効果的に使えるのは、商品コンセプトなどを実際のカスタマーのリアクションを元に検証する場合だと私は考えています。

 

2. 好奇心があること

商品をとりまく環境は目まぐるしく変わります。カスタマーのニーズの変化、新しいテクノロジーの登場、競合他社のリリース、法律や規制の改正、などです。こういった動きについていくには、強い好奇心を持って業界のトレンドについていく必要があります。ニュースなどは当たり前ですが、実際に色々な人に会ってアイデアを仕入れていく必要があります。

 

一つ注意が必要なのは、新しいテクノロジーを全て採用する必要はないということです。着想や大まかなトレンドを掴むことが大事なのであって、実際のプロダクトアイデアは自分のカスタマーから拾い集める必要があります。

 

3. データを分析をする能力が高いこと
4. コミュニケーション能力が高いこと

この二つは通底するテーマがあるので纏めますが、端的に言うと、自分のアイデアを相手に分かりやすく説明する能力だと思います。データは定量的なので非常に強力なコミュニケーション手段ですが、カスタマーのインタビューの結果を上手に見せることも同じように効果的です。

 

前に書いたように、プロダクトマネージャーはプロダクトの最終責任者である一方、マーケティングやエンジニアリングなどの関係部署は別のレポーティングラインに存在することが多いため、自分の戦略を説得力を持って伝えていく必要があります。

 

5. ある程度のテクニカルスキルがあること

これについては会社に拠るので一概には言えません。真偽は不明ですが、アマゾンのプロダクトマネージャーはテクニカルスキルは要求されないという噂を聞いたことがあります。おそらくポジション毎に要求されるテクニカルスキルの水準は違うでしょう。

 

しかしながら、私は最低でもコードを書いた経験がある、というのを採用の基準にしています。やはり全くコーディングの経験がないと、エンジニアと対等にやりあうのは難しいと思いますし、デザインなどに関する意見も軽くみられがちです。勿論、プロダクトマネージャーの仕事は大局的な視点から優先順位を決めることなので、必ずしも深いテクニカルスキルはいらないとは思いますが、ある程度の知識がないと、説得力のあるストーリーは描けないのではないでしょうか。

 

如何だったでしょうか。少しでも多くの人がプロダクトマネージャーとして活躍できますように。

アメリカで現地就職する方法

留学した多くの人に訪れるであろう、"このまま現地で就職できないだろうか"、という思いですが、行動に移さずに日本に帰ることが多いと思います。私の経験を元に、アメリカで留学後に現地留学する方法を纏めてみたいと思います。重要度としては以下の通りです。

 

1. ビザの取りやすさ

2. 学位やスキルの需要対比での希少性

3. 学校のランキング(top 10, top 20といった大まかな)

4. 英語でのコミュニケーション能力

 

1. ビザの取りやすさ

2020年1月現在、これは一言で言えば、STEM OPTが使えるか否か、につきます。(以下、グリーンカードや米国国籍を持っていない前提です。これらをもっていると難易度はぐぐっと下がります)

 

アメリカに留学する場合、F-1ビザという学生ビザを取得します。このビザは就労許可がついていないため、アメリカで就職するためには就労可能なビザ、殆どの場合H1-bビザに切り替える必要があります。そして、このビザを申請するには雇用先にビザスポンサーになってもらう(アメリカ人ではなく当該外国人を何故雇うのか、そしてきちんと標準並の給料を払えるのか、などを移民局に説明する)必要があります。アメリカの好景気を受け、H1-bはなんと現在抽選制になっていて、年にたった一回の抽選に通る可能性は、学士の場合は30%+程度、修士だと55%程度と言われています。正直、かなり可能性は低いです。そうなのです、せっかくスポンサーしてくれる企業を探しても、抽選に外れるとアメリカでは働けません。従って、現在のアメリカにおいて外国人をH1-bを念頭に採用するのは非常にリスクが高くなっています。

 

ここで重要になってくるのがOPTです。これは一年以上の留学プログラムについてくる特典のようなもので、F-1ビザのステータスのまま、アメリカで働くことができるシステムです。実務修習といった位置づけなので、履修したコースと勤務先のポジションが一致している必要がありますが、とても魅力的な制度です。そして、STEM (Science Technology Engineering Math)と認定されたコースを履修したOPTの場合、なんと最長で3年も働けます。通常のOPTだと1年なので、これ自体でも大きな差がありますが、H1-bの抽選を考慮するとこの差は絶大です。なぜならSTEM OPTの場合は3回抽選に参加できるため、抽選に通る確率が大きく上がるからです。具体的には;

学士: 1 - (1-0.3)^3=65.7%
修士: 1 - (1-0.55)^3=90.9%
といった具合に抽選に通る可能性が大きく上がります。勿論、自分の勉強したいものを専攻にすべきではありますが、アメリカ就職をするにあたってはこのSTEM OPTが使えるか否か、というのは雇用側にとってとても大きな意味を持ちます。

 

2. 学位やスキルの需要対比での希少性
これはある意味当たり前なのですが、日本の就活のように職種やスキル別の採用をしないシステムに慣れていると面喰らう可能性があるので手短に説明します。

 

アメリカの採用は職種別です。日本のように総合職というざくっとしたくくりで採用されることはありません。Product Manager、Softwre Engineerなどという職種に応募して、それぞれの職種に対する要求水準を満たしているか、を元に採用の意思決定がなされます。従って、採用のためのJob Descriptionも極めて詳細で、Degree in CS from top ranked schools、といったものがQualificationに書いてあります。逆に言うと、このQualificationに書いてある学位やスキルがないと箸にも棒にもかかりません。

 

そういった中で、ビザをスポンサーする必要のないアメリカ人と戦うには、需給のバランスがタイト(需要 > 供給)な業界を狙うのがセオリーです。さらに言うと、この需給のバランスは地域毎によって違います。少し強引な例を出すと、シリコンバレーで引く手数多なソフトウェアエンジニアも、農地ばかりのアメリカ中西部の閑散とした地域では職を見つけにくい、といった感じです。留学する先のスクールが位置するエリアで主要な業界や、需要の強いポジションを調査しておく方が良いでしょう。

 

3. 学校のランキング(top 10, top 20といった大まかな)

アメリカではマネージャーが採用も担当します。学生の採用も同様で、実際のインタビューは我々のような非人事の人間が担当します。日々の業務に加えて採用活動もするため、どうしても学歴での足切りが起こりがちです。

 

従って、できればある程度有名な学校にいきましょう。アメリカの場合、学校のランキングは専攻によりけりで、面接官も自分のインタビューしている分野のランキングしか分からないケースが多い(例えばソフトウェアエンジニアの面接官はコンピュータサイエンスのランキングくらいしか知らない、乃至はコンピュータサイエンスのランキングのイメージで全て判断する)ので、自分の目指す職種のランキングを調べて出願戦略を練るのがよいと思います。

 

大体の感覚として、上位20に入るくらいの学校であればトップスクールと言えると思います。その中でも勿論差はありますが、それが採用における重要なファクターか(例えばコーディングテストの大失敗を挽回できるか)と言われると、若干疑問符がつきます。個人的な経験を元にした感想ですが、学歴はやはり足切りの要素が強いのかな、と思います。

 

情報のソースとしては、US Newsのランキングが一般的かなと思います。自分の分野をみるに、少なくとも大きく外している感じはないです。

 

4. 英語でのコミュニケーション能力

これはアメリカで働く以上は当たり前ですね。きちんと英語で意思疎通ができ、自分の意見を表明できることが必要です。特に大きい企業では多くの部署と協力しながら働いていくため、例えばコーディングだけできればいい、みたいな採用はされません(もしかしたら一部の大天才は採用するかもしれませんが)。

 

職歴が長くなっていくとどうしてもメンタリングやマネジメントという側面が出てくるので、場面に合わせた英語の言葉の選び方や言い回しなどもきちんと頭にいれておかないと厳しいですね。

 

以上です。兎にも角にもビザのハードルが限りなく高いので、そこをどう突破するのか、というのを中心に戦略をたてるのがよいかなと思います。

プロダクトマネージャーとは何をする仕事か

日本ではあまりメジャーではないプロダクトマネージャーですが、こちらアメリカではかなり人気の職業です。では、実際にどんなことをする仕事なのでしょうか。そしてどんな人がプロダクトマネージャーとして成功するのでしょうか。

 

そもそもプロダクトマネージャーは何故必要なのか

これはプロダクトのリリースサイクルが極端に短くなっていることが根本的な理由だと思います。リーンスタートアップに詳しいように、現代のプロダクト開発はMVP(Minimum Viable Product)を開発したら、あとはマーケットに出し、プロダクトを引っ込めるか否かという決断も含めて、顧客からの生のフィードバックを元に、プロダクトを逐次的に開発していきます。従って、顧客の要求を元に、月に一回程度新しいフィーチャーをリリースするなんてこともあり得ます。

 

こういった開発形態においては、最終的な意思決定者を一人おくことはとても理にかなっています。エンジニア、マーケター、ファイナンスなどの意見がぶつかって物事が前に進まない、所謂、船頭多くして船山に登る、という状態を避けるためです。そして、その意思決定者こそがプロダクトマネージャーなのです。

 

プロダクトマネージャーの仕事は優先順位を決めて周囲を巻き込むこと

意思決定がプロダクトマネージャーの主な仕事なのだとしたら、実際には何を決めるのでしょうか。私の意見ではプロダクト開発の優先順位だと思っています。

 

例えば、とあるソフトウェアをリリースした後、顧客から、データのバックアップ機能とアプリを通じたモバイルからのリモートアクセス機能の二つの要求が多数来たとしましょう。限られた社内のリソースの中で、これら二つのどちらを優先しなければならないのか。これこそがプロダクトマネージャーが毎日直面し、頭を悩ませている問題です。

 

アプローチとしては色々な方法がありますが、アメリカにおいては殆どの意思決定がデータに基づいてなされています。カスタマーインタビューやビッグデータを使った統計的な手法などを元に、競合する機能のどちらにエンジニアのリソースを振り分けるか、というのを決めていきます。

 

そしてプロダクトマネージャーの仕事はここでは終わりません。自分の中で決めた優先順位を周りに伝え、納得してもらう必要があります。プロダクトマネージャーはプロダクトの最終意思決定者である一方、エンジニアやマーケティング、デザインなどの部門は、プロダクトマネージャーにレポートしていないことが多々あります。従って、こういった関係者に納得感をもって仕事をしてもらうためにも、自分の優先順位をきちんと伝えて、データに裏付けされた説得力のあるストーリーを作る必要があります。

 

プロダクトマネージャーは長期的な視野を持つ必要がある

これは優先順位を決める中の一つの要因ですが、大事なので別建てにします。優先順位を決める大前提として、プロダクトマネージャーは、自分のプロダクトに対して長期的な視野を持っている必要があります。

 

例えば、先程の例で、データのバックアップは即座にマネタイズできる一方、アプリ開発はフリーの拡張機能だったとしましょう。短期的にはデータのバックアップを優先し、キャッシュフローを生んだ方が良さそうです。しかし、現代のモバイルシフトを見ていくと、アプリからモバイルアクセスができないのはマーケットシェアをとりにいく観点からは致命的かもしれません。もしかしたら2年後や3年後に大きく実を結ぶのは、アプリ開発なのかもしれません。

 

プロダクトマネージャーに必要な資質

よいプロダクトマネージャーになるには、well roundedである必要があるとよく言われます。日本語でよくいうジェネラリスト、というのに近いと思います。意思決定者として様々な局面に顔を突っ込むため、プロダクトのことだけではなく、デザイン、マーケティング、ファイナンス、はたまた会計や財務、法務などにも幅広く通じている必要があります。また、優先順位づけはデータによってなされるため、定量的な思考能力の高さと、データを自分でとってきて加工する能力も求められます。最後に、関係者を巻き込むために、高いコミュニケーション能力が求められます。

 

こういったスキルを効率よく身につけるには、MBAが最も近道でしょう。人気の職業なので狭き門にはなりがちですが、こういったスキルを幅広く身につけるにはMBAはもってこいの場所だと思います。GAFAなど人気企業のMBA採用に通るには、こういった基本的なスキルに加え、他人に負けない何か(例えばエンジニア出身でテクニカルな議論を深いレベルでできる)を一つ持っておくことが必要かなと思います。