アメリカ在住プロダクトマネージャーのブログ

アメリカの大学院を卒業後、そのままアメリカに残り、現在は某米国企業でプロダクトマネージャーとして働く男子のつぶやき。

プロダクトマネージャーになるには

アメリカで人気のプロダクトマネージャーですが、どういう人が採用されるのでしょうか。マネージャーとして面接もしている私の考えは以下の通りです。

1. 決断力があること

2. 好奇心があること

3. データを分析をする能力が高いこと

4. コミュニケーション能力が高いこと

5. ある程度のテクニカルスキルがあること


面接にたどり着くまでには勿論それなりの学位と職歴が求められますが、上記のような資質を持っている人がプロダクトマネージャーとして採用される可能性が高いと思います。

 

1. 決断力があること

前の投稿でも書いた通り、プロダクトマネージャーの大事な仕事は開発の優先順位を決めることです。しかし、プロダクトのリリースサイクルが短くなっている現代では、完璧な情報をもって決断できる機会は殆どないでしょう。従って、不十分な情報の中で大きな決断をしていく必要があります。

 

決断力をトレーニングするのは中々難しいのですが、フレームワークとして頭に入れておきたいのはone way door vs. two way door decisionです。one way door decisionというのは一度決めたら後戻りが難しい決断で、例えば会社の買収などがこれに当たります。two way door decisionというのは決断が間違っていたと思ったら変えることが出来るもので、例えばUIのドロップダウンの中身などが考えられます。アメリカのテクノロジー業界では、真の意味でのone way door decisionというのはあまりなく、多くのものをtwo way doorだと考えて素早く決断する、というのが今のところのトレンドです。

 

但し、やってみました、失敗しました、はいやめました、では意味がありません。two way door decisionをする場合、失敗や成功を次に繋げるため、必ず定量的に効果を測定しておく必要があります。その意味では、two way doorが効果的に使えるのは、商品コンセプトなどを実際のカスタマーのリアクションを元に検証する場合だと私は考えています。

 

2. 好奇心があること

商品をとりまく環境は目まぐるしく変わります。カスタマーのニーズの変化、新しいテクノロジーの登場、競合他社のリリース、法律や規制の改正、などです。こういった動きについていくには、強い好奇心を持って業界のトレンドについていく必要があります。ニュースなどは当たり前ですが、実際に色々な人に会ってアイデアを仕入れていく必要があります。

 

一つ注意が必要なのは、新しいテクノロジーを全て採用する必要はないということです。着想や大まかなトレンドを掴むことが大事なのであって、実際のプロダクトアイデアは自分のカスタマーから拾い集める必要があります。

 

3. データを分析をする能力が高いこと
4. コミュニケーション能力が高いこと

この二つは通底するテーマがあるので纏めますが、端的に言うと、自分のアイデアを相手に分かりやすく説明する能力だと思います。データは定量的なので非常に強力なコミュニケーション手段ですが、カスタマーのインタビューの結果を上手に見せることも同じように効果的です。

 

前に書いたように、プロダクトマネージャーはプロダクトの最終責任者である一方、マーケティングやエンジニアリングなどの関係部署は別のレポーティングラインに存在することが多いため、自分の戦略を説得力を持って伝えていく必要があります。

 

5. ある程度のテクニカルスキルがあること

これについては会社に拠るので一概には言えません。真偽は不明ですが、アマゾンのプロダクトマネージャーはテクニカルスキルは要求されないという噂を聞いたことがあります。おそらくポジション毎に要求されるテクニカルスキルの水準は違うでしょう。

 

しかしながら、私は最低でもコードを書いた経験がある、というのを採用の基準にしています。やはり全くコーディングの経験がないと、エンジニアと対等にやりあうのは難しいと思いますし、デザインなどに関する意見も軽くみられがちです。勿論、プロダクトマネージャーの仕事は大局的な視点から優先順位を決めることなので、必ずしも深いテクニカルスキルはいらないとは思いますが、ある程度の知識がないと、説得力のあるストーリーは描けないのではないでしょうか。

 

如何だったでしょうか。少しでも多くの人がプロダクトマネージャーとして活躍できますように。