アメリカ在住プロダクトマネージャーのブログ

アメリカの大学院を卒業後、そのままアメリカに残り、現在は某米国企業でプロダクトマネージャーとして働く男子のつぶやき。

プロダクトライフサイクル

プロダクトマネージャーの役割の一つとして、プロダクトライフサイクルをマネージする、というのがあります。このプロダクトライフサイクルですが、意識して仕事に望まないとすぐ忘れがちなので、備忘録も兼ねて纏めておこうかなと思います。

 

プロダクトライフサイクルとは何か

そもそもプロダクトにライフサイクルがある、という概念自体、プロダクトマネージャー経験の長い方以外には想像するのが難しいのかなと思います。iPodが例としてはわかりやすいかなと思います。

 

iPodが世に出た当初、それはそれはとてもニッチな商品でした。Windowsに対応していない(当時はMacのシェアは相当小さかった)、値段も高い、重い、動きももっさり、といった具合です。しかしAppleはこの商品を出しました。そして、この商品に今後のプロダクト戦略の根本になる、iTunesとの連動、という機能がありました。これはAppleというブランドを熱狂的に支持する人たちをターゲットにした、実験的な取り組みだったと言えると思います。

 

初代のiPodで、iTunesとの連動や、MP3を使ったストレージ、といった、コアになるプロダクト戦略の正しさを確認したAppleは、次にメインストリームに飛び込むための大胆なProduct Market Fitを追求します。最も大きな動きはWindowsへの対応でしょう。これによりメインストリームのユーザーへのリーチを可能とし、iTunesとの連動によるMP3ファイルをメディアに焼かずに高速に連動させる、という利便性を押し出して、一気に売上を伸ばしていきます。

 

こうしてメインストリームのユーザーを獲得すると、色のバリエーションを増やしたり、バージョンを増やしたり(iPod mini) することにより、より多くの層に訴求していきます。同様にiTunesも進化を続け、ただのファイルをマネージするためのツールから、徐々に音楽や動画を買うプラットフォームへと進化していきます。

 

そうした絶頂期に一つの事件が起こります。iPhoneの発売です。iPhoneには音楽を聴ける、そしてiTunesでマネージできる、というiPodの良いところを取り込み、さらに電話やブラウジング、アプリといった機能を持っていました。iPhoneが進化し、シェアをとっていく過程で、Appleは非常に難しい決断をします。それはiPodビジネスの縮小です。徐々にプロダクトラインを減らしていき、今はiPhoneとほぼ見た目や機能がそっくりなラインしか残していません。

 

こうして誕生から縮小、時にはプロダクトのリタイヤ、という一連の流れを扱うのがプロダクトマネージャーとして大事なポイントです。

 

何故これが大事なのか

プロダクトライフサイクルが頭に入っていると、いま何に集中すべきか決めやすいです。例えば、プロダクトの立ち上げきにはコアになるコンセプトを試してくれるユーザーを獲得し、フィードバックをとることが最重要です。メインストリームに行き着くにはProduxmct Market Fitを念頭にしたフィーチャーの追加が主になります。プロダクトの縮小期には既存のユーザーのマイグレーションが主になるでしょう。

 

こうしてそれぞれの局面で集中すべきことを把握し、関係者にコミュニケーションしておくことで、スムーズな製品開発が期待できるのです。